NISA・iDeCoはどの順番で取り崩す?53歳退職を目指す48歳会社員が考えた出口戦略

FIRE計画・ライフプラン

NISAとiDeCoは、
これまでひたすら「埋める」ことだけを考えてきました。

毎年の非課税枠を使い切り、掛金を積み立て続けることに
集中していたので、正直なところ「受け取るとき」のことは
ほとんど考えていませんでした
。

ところが、53歳での退職が具体的になってくるにつれ、
今度は「どちらから、いつ、どうやって取り崩すか」という
出口の設計が必要
だと気づきました。

同じように、積み立てることばかり考えてきて、
出口戦略はこれからという40〜50代の方は多いの
ではないかと思います。

今回は、公的機関の情報をもとに、
私自身が調べて考えたことを整理します。

NISAとiDeCo、まず制度のおさらい

金融庁によると、新NISAの年間投資枠は、
つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、
併用すると年間最大360万円です。
生涯にわたって非課税で保有できる上限額(非課税保有限度額)は
1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)で、
非課税で保有できる期間には期限がありません。

一方のiDeCoは、受け取り開始の年齢を60歳から75歳の間で
自分で選べる制度
です。
受け取り方には「一時金」「年金(分割)」「一時金と年金の併用」の
3種類があり、それぞれ税金の計算方法が異なります。
一時金で受け取る場合は退職所得控除、
年金で受け取る場合は公的年金等控除が使えます
が、
控除の仕組みが違うため、
受け取り方次第で手取り額が変わってきます。

iDeCoを一時金で受け取るときの控除の考え方

国税庁の資料によると、退職所得控除の額は勤続年数
(iDeCoの場合は加入期間)によって決まり、
20年以下の部分は1年あたり40万円(最低80万円)、
20年を超える部分は1年あたり70万円で計算
されます。
仮に加入期間が25年であれば、
控除額は800万円+70万円×5年=1,150万円となり、
この金額までは税負担なく受け取れる計算です。

ここで見落としやすいのが、会社からの退職金と
iDeCoの一時金を両方受け取る場合、受け取る時期が近いと、
この控除を2つ分満額使えるとは限らないという点です。

私のケースにあてはめると:53歳の退職金と、iDeCoの受け取り時期

私は53歳で会社を退職し、退職金を受け取る予定です。
その後、iDeCoは60歳以降のどこかで一時金として
受け取ることを考えています。

財務省の令和7年度税制改正の大綱によると、
2026年(令和8年)1月1日以後は、iDeCoの一時金を先に受け取り、
その後に退職金を受け取るケースの重複排除期間が、これまでの
「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に延長されました
。

ただし、私のように退職金を先に受け取り、
iDeCoの一時金をあとで受け取る順番の場合は、
この改正の対象ではなく、従来どおり「前年以前19年内」という、
より長い期間のルールが適用されます。

単純に計算すると、53歳で退職金を受け取った場合、
72歳(53歳+19年)より前にiDeCoを一時金で受け取ると、
退職所得控除の計算で調整が入り、両方をフルには
使えない可能性がある
ということです。

正直なところ、この19年という数字は想定していませんでした。
60歳や65歳でiDeCoを一時金として受け取るつもりだったので、
控除が調整される可能性を踏まえて、受け取り方や時期を
見直す必要があると感じています。

受け取りを遅らせれば安心、とも言い切れない

ここまでを踏まえると「控除が調整されるくらいなら、72歳まで
iDeCoの受け取りを遅らせればいい」と考えたくなりますが、
それだけで安心できるわけではないとも感じています。

iDeCoは受け取りが完了するまで口座管理手数料がかかり続けますし、
資産を運用のリスクにさらしたままの期間が長くなるという面もあります。
受け取り開始は75歳が上限のため、無制限に先延ばしできるわけでも
ありません。

控除を満額使うことだけを優先するのか、手数料や運用リスクとの
バランスを取るのかは、結局のところ退職金の金額や他の資産
状況次第で答えが変わる部分だと思います。

受け取り方による違いをざっくり比較

受け取り方使う控除私の場合に関係する論点
一時金退職所得控除退職金との間隔(私の場合19年ルール)で控除が調整される可能性
年金(分割)公的年金等控除65歳以降の公的年金と合算され、雑所得として課税される
一時金+年金の併用両方を組み合わせ控除を分散できる可能性がある一方、計算はより複雑になる

NISAは「急いで崩さない」、iDeCoは「時期を設計する」

NISAは非課税保有期間に期限がないため、生活費が必要になった
タイミングで、必要な分だけ取り崩せばよく、いつ売却しても
税制上のペナルティはありません
。

むしろ、教育費や住宅修繕など、まとまった支出が必要なときの
「調整弁」として使いやすい口座だと感じています。

取り崩す順番についても、NISA内で保有している複数の銘柄のうち、
どれを売るかは自由に選べるため、含み益の大きいものを残し、
含み損が出ているものから調整するといった工夫の余地もあります。

一方のiDeCoは、受け取り方と時期によって手取りが変わる制度です。
私の場合であれば、退職金を53歳で受け取ったあと、
・iDeCoを一時金で受け取るなら72歳前後まで待つのか、
・それとも控除の調整を受け入れてでも早めに一時金で受け取るのか、
・あるいは年金方式で公的年金と合わせて受け取るのか、
複数の選択肢を比較する必要があります。

年金方式で受け取る場合は、65歳以降の公的年金と合算されて
雑所得として課税されるため、公的年金の見込み額
(私の場合は年間約252万円)と合わせて、公的年金等控除の
枠内に収まるかどうかも確認しておく必要があります。

どちらが得かは、退職金の金額や公的年金の見込み額に
よって変わるため、一律に「こちらが正解」とは言えない
ところが難しいところです。

まとめ:自分の場合で確認したい項目

出口戦略は、積立の計画以上に一人ひとりの事情に左右される
部分だと感じています。
今回整理した内容をもとに、自分の場合で確認して
おきたい項目を挙げておきます。

  • 会社の退職金を受け取る時期と、その見込み額
  • iDeCoの加入期間と、一時金で受け取った場合の退職所得控除の見込み額
  • 退職金とiDeCoの受け取り時期の間隔が、
    19年ルール(またはiDeCoが先の場合は10年ルール)に照らしてどうなるか
  • iDeCoを一時金・年金・併用のどれで受け取るのが、自分の場合に手取りが多くなりそうか
  • 受け取りを遅らせた場合の口座管理手数料や、運用リスクにさらされる期間の長さ
  • NISAをどのタイミングでの支出に充てる「調整弁」として位置づけるか

ここで挙げた制度や数字は、2026年時点の公表情報にもとづく
ものであり、税制は今後も改正される可能性があります。

また、実際の税額は退職金の金額や勤続年数、他の所得の有無によって
個人差が大きいため、単純化した計算であることをご了承ください。
この記事の数字を出発点に、ご自身の場合で一度整理してみて
いただければと思います。

参考資料

  • 金融庁「NISAを知る」(NISA特設ウェブサイト) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
  • 国税庁 No.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  • 財務省「令和7年度税制改正の大綱」(令和6年12月27日閣議決定、退職所得控除の調整規定の見直しは令和8年1月1日以後適用) https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/20241227taikou.pdf

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