53歳退職後、生活費以外にいくら必要?教育費・住宅修繕・介護費を試算

FIRE計画・ライフプラン

「毎月の生活費を計算すれば、退職に必要な資金も分かる」

私も最初は、そのように考えていました。

しかし、退職後の家計には、毎月ほぼ一定額が出ていく
生活費とは別に、数年に一度まとまって発生する支出があります。
子どもの進学費用、住宅の修繕、親の介護などです。

こうした支出は、金額も発生時期も確定していません。
そのため、毎月の生活費だけで退職後の収支を計算すると、
必要資金を少なく見積もってしまう可能性があります。

私は現在49歳で、2030年4月、53歳前後での退職を目標にしています。
退職時の目標金融資産は9,000万円、退職後の生活費は月35万円、
年間420万円を想定しています。

今回は、教育費・住宅修繕費・介護費について、
公的機関などが公表している数字を確認しながら、私の家計では
生活費以外にいくら準備しておきたいかを考えます。

なお、この記事で紹介する平均額は、
わが家の支出額を予測するものではありません。
進路、住まい、介護方法、家族の分担によって
実際の金額は大きく変わります。

最初に「生活費」と「臨時支出」を分ける

私が想定している生活費は月35万円です。
年間では、次の金額になります。

35万円×12か月=年間420万円

53歳から公的年金の受給を想定している65歳までを12年間とすると、
物価上昇や運用損益を考慮しない単純計算では、

420万円×12年間=5,040万円

となります。

ただし、教育費や家電の買い替え費用を月35万円の中に
含めている場合、それを臨時支出にも全額加えると
二重計上になります。

そこで、退職資金を考えるときは、支出を
次の3つに分けた方が分かりやすいと考えました。

  1. 食費や光熱費など、毎月発生する生活費
  2. 毎月の積み立てで準備している支出
  3. 生活費や積み立てでは足りない臨時支出

今回考えるのは、
主に3番目の「生活費とは別に準備しておきたいお金」です。

教育費:大学進学と退職時期がほぼ重なる

わが家の場合、教育費は特に重要です。娘は現在中学3年生で、
順調に進学すると2030年4月に大学へ入学する年代になります。
これは、私が目標としている退職時期とほぼ同じです。

つまり、大学4年間の費用の多くが、
退職後の家計と重なる可能性があります。

高校3年間の費用は、退職前の資産形成に影響する

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、
高等学校全日制の学習費総額は、1年間で
公立59万6,954円、私立117万9,261円です。

この学習費総額には、授業料などの学校教育費に加え、
塾や家庭教師、習い事などの学校外活動費も含まれます。

単純に3年間分へ換算すると、次のようになります。

高校の区分1年間3年間の単純計算
公立高校59万6,954円約179万円
私立高校117万9,261円約354万円

高校の費用は基本的に退職前の支出ですが、
その分だけ2030年までに積み立てられる金額が減ります。

退職後の臨時支出ではないからといって、
退職計画と無関係ではありません。

大学費用は「国公立・私立」と「自宅・下宿」で大きく変わる

日本学生支援機構の「令和6年度学生生活調査」では、
大学学部昼間部の学生生活費を、学費と生活費の
合計として示しています。

ここでいう学費には、授業料、その他の学校納付金、
修学費、課外活動費、通学費が含まれます。

生活費には、食費、住居・光熱費、保健衛生費、
娯楽費などが含まれます。

居住形態別の年間学生生活費は、次のとおりです。

大学・住まい年間学生生活費4年間の単純計算
国立・自宅120万2,600円約481万円
国立・アパート等180万700円約720万円
私立・自宅190万5,400円約762万円
私立・アパート等268万9,100円約1,076万円

同じ調査では、大学学部昼間部全体の平均で、
自宅通学が年間180万1,300円、
アパート等が234万2,900円です。
アパート等は自宅通学より年間約54万円高くなっています。

ただし、この金額のすべてを親が負担するとは限りません。
奨学金や本人のアルバイト収入などもあるからです。

同調査における大学学部昼間部の「家庭からの支援」は、
年間平均102万9,700円です。
4年間同じ額が続くと単純計算した場合、約412万円になります。

わが家の教育費を考える際には、次の3つを分ける必要があります。

  • 大学生活全体で必要になる金額
  • 親が負担する金額
  • 月35万円の生活費や教育資金として、すでに準備している金額

例えば、大学費用の一部を月35万円から支払い、
別に教育資金も準備しているなら、臨時支出として
新たに用意する金額は300万~400万円程度になるかもしれません。

一方、私立大学への自宅外通学となり、その大部分を親が負担する場合は、
800万~1,000万円を超える可能性も考える必要があります
。

教育費は「大学4年間でいくらか」だけではなく、
「そのうち退職後の家計からいくら出すのか」を
決めることが重要だと感じました。

住宅修繕費:修繕積立金だけでは足りない場合がある

私は2017年築、約80平方メートルの分譲マンションに住んでいます。
2030年には築13年ほどになります。

マンションでは、毎月、管理費や修繕積立金を支払っています。
しかし、修繕積立金は主に外壁、屋上、共用廊下、配管など、
マンションの共用部分の工事に備えるお金です。

室内の給湯器、エアコン、水回り、内装など、専有部分の
修繕や交換は、基本的に各家庭で準備する必要があります。

国土交通省のリフォーム資金は平均154万円

国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査」によると、
調査対象となったリフォーム世帯のリフォーム資金は
平均154万円、中央値48万円
でした。

平均値と中央値に大きな差があるのは、一部の高額なリフォームが
平均額を押し上げているためと考えられます。

また、この調査のリフォーム住宅は三大都市圏が対象です。
そのまま福岡市のわが家に当てはまる数字ではありません。

それでも、退職後に住宅設備の交換が重なった場合、
100万~200万円単位の支出になる可能性を考える
材料にはなります。

80平方メートルなら修繕積立金の目安は月1万3,600円~3万4,400円

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、
地上20階未満のマンションについて、建築延床面積に応じて、
専有面積1平方メートル当たり月170円~430円という幅が示されています。

専有面積80平方メートルで単純計算すると、

80平方メートル×170円=月1万3,600円
80平方メートル×430円=月3万4,400円

となります。年間では約16万3,000円~41万3,000円です。

ただし、この目安はマンション全体の建築延床面積や階数に
よって区分が異なり、機械式駐車場の修繕費は別に加算されます。

実際には、自宅マンションの長期修繕計画と現在の積立額を
確認する必要があります。

また、この修繕積立金の目安と、室内設備の交換費用は別のものです。

私は専有部分の修繕や設備交換、一時金が必要になった場合への
備えとして、200万円を仮置きしたいと考えています。

国土交通省の平均額154万円をそのまま採用するのではなく、
複数の設備交換が重なる可能性を考えて少し余裕を持たせた金額です。

一方、将来マンションを売却して実家へ移る時期が早まるなら、
現在のマンションに大きな修繕費をかけない選択肢もあります。

住宅修繕費は、マンションの売却時期と合わせて考える必要があります。

親の介護費:介護費用の総額と「私が負担する額」は違う

親の介護費用は、特に見通しを立てにくい支出です。

公益財団法人生命保険文化センターの
「2024年度生命保険に関する全国実態調査」によると、
過去3年間に介護経験がある2人以上世帯では、
住宅改造や介護用ベッドの購入などにかかった
一時的な費用は平均47万2,000円、毎月の介護費用は
平均9万円
でした。

介護場所別では、月額費用は在宅が平均5万3,000円、
施設が平均13万8,000円です。
また、介護期間は平均55か月、約4年7か月でした。

仮に平均月額9万円が55か月続き、
一時費用47万2,000円も発生するとして単純計算すると、

9万円×55か月+47万2,000円=約542万円

となります。

ただし、これは調査の平均値同士を掛け合わせた参考計算です。
「平均的な家庭では必ず542万円かかる」という意味ではありません。
介護度、介護期間、在宅か施設かによって大きく変わります。

要介護1の在宅サービスには月額の限度額がある

厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」によると、
要介護1の居宅サービスの区分支給限度基準額は月16万7,650円です。

この範囲内で介護保険サービスを利用した場合、
本人の所得などに応じて原則1~3割を自己負担します。

ただし、食費、居住費、日常生活費、保険の対象外となるサービス、
支給限度額を超えた利用分などは別に負担する場合があります。

ここで大切なのは、親にかかる介護費用の総額と、
私の退職資金から出す金額を分けること
です。

親自身の年金や預貯金、介護保険、きょうだいとの分担で
支払える部分まで、すべて私の臨時支出として計上すると、
必要資金を過大に見積もる可能性があります。

一方、親のお金だけでは足りず、
私の家計から月5万円を2年間支援すると仮定すれば、

5万円×24か月=120万円

となります。

私は現時点では、介護費用全体ではなく
「私の家計から支援する可能性のある金額」として、
120万円を仮置きします。

実際には、親の収入・預貯金、利用サービス、介護期間、
きょうだいとの分担を確認しながら見直します。

教育費・住宅修繕費・介護費を三つのケースで試算

公表資料の平均額を確認しても、わが家に必要な金額が
一つに決まるわけではありません。
そこで、条件の違う三つのケースを作ってみました。

医療費や家電の買い替えなど、
今回の三項目以外の予備費として140万円も加えています。

ケース教育費住宅修繕費私が負担する介護費その他予備費合計
多くを生活費・既存資金で賄える300万円150万円0円140万円590万円
現時点の仮置き410万円200万円120万円140万円870万円
大きな支出が重なる1,080万円300万円300万円140万円1,820万円

中央のケースでは、教育費を日本学生支援機構の
「家庭からの支援」4年間分に近い410万円、住宅修繕費を200万円、
私が負担する介護費を120万円としました。

大きな支出が重なるケースの教育費1,080万円は、
私立大学にアパート等から通う場合の年間学生生活費268万9,100円を
4年間分へ単純換算した約1,076万円を参考に、端数を丸めたものです。

この表は将来を予測したものではなく、
「どの条件が変わると、いくら増えるのか」を
確認するためのストレステストです。

私の場合、生活費以外にまず870万円を仮置きする

今回の計算では、生活費とは別に準備する臨時支出として、
まず870万円を仮置き
することにしました。

退職時の目標金融資産9,000万円の中に、
この870万円が含まれているなら、すべてを運用資産や
毎月の生活費として考えることはできません。

9,000万円-臨時支出870万円=8,130万円

このように、870万円を臨時支出用として区分すると、
残り8,130万円が生活費、運用、住宅ローンへの
対応などを考える基礎になります。

さらに、退職前には生活費1~2年分に当たる420万~840万円を
現金で確保したいと考えています。

臨時支出870万円と合わせると、値動きの小さい資産で
確保したい金額は、単純計算で次のようになります。

現金等で備える目的金額
生活費1年分+臨時支出1,290万円
生活費2年分+臨時支出1,710万円

ここでいう「現金等」には、普通預金だけでなく、
使う時期に合わせて日本国債など値動きの小さい資産を
組み合わせる方法も考えられます。

ただし、教育費の一部を月35万円の生活費に含めるなら、
その分は870万円から差し引く必要があります。
同じお金を生活費と臨時支出の両方に数えないことが重要です。

9,000万円という目標だけでは判断できない

退職時に9,000万円あれば安心なのか、それとも足りないのか。
資産額だけを見ても答えは出ません。

同じ9,000万円でも、大学費用の支払いが終わっている家庭と、
これから1,000万円近い教育費が必要な家庭では状況が違います。

住宅の築年数や親の介護状況によっても、必要な現金は変わります。

私の場合は、2030年4月の退職時期と娘の大学進学時期が重なる
可能性があります。
さらに、住宅ローンが残り、親の介護も考える必要があります。

そのため、9,000万円という目標を達成することだけでなく、
その内訳を次のように分けて確認したいと考えています。

  • 毎月の生活費に使う資金
  • 教育費として使う資金
  • 住宅修繕や設備交換に備える資金
  • 親の介護を支援する可能性に備える資金
  • 長期運用を続ける資金

資産総額が目標に届いても、数年以内に使う予定のお金まで
株式で運用していれば、退職直後の相場下落に対応しにくくなります。

使う時期が近いお金ほど、値動きの小さい資産へ移しておく
必要があると感じています。

退職前に自分の家計で確認したい項目

最後に、生活費以外の支出を考えるときの確認項目をまとめます。

教育費

  • 高校・大学は国公立と私立のどちらを想定するか
  • 大学は自宅から通うか、一人暮らしになるか
  • 親が負担する金額をどこまでとするか
  • 奨学金や本人のアルバイトをどう考えるか
  • すでに準備している教育資金はいくらか

住宅費

  • 毎月の修繕積立金はいくらか
  • 長期修繕計画で積立金の値上げや一時金が予定されていないか
  • 給湯器、水回り、エアコンなどの状態はどうか
  • 現在のマンションに何年住む予定か
  • 売却や住み替えの時期はいつか

介護費

  • 親自身の年金と預貯金はいくらあるか
  • 在宅介護と施設入居のどちらを想定するか
  • 介護保険で利用できるサービスは何か
  • きょうだいでどのように役割と費用を分担するか
  • 自分の家計から支援できる上限額はいくらか

まとめ:退職資金は「総額」だけでなく「使い道」まで決める

私はこれまで、退職時の目標として金融資産9,000万円を
意識してきました。

しかし、今回あらためて考えると、重要なのは9,000万円と
いう数字そのものではなく、その中から近い将来に使うお金を
どれだけ分けておくかだと分かりました。

現時点では、生活費とは別の臨時支出を870万円と仮置きしました。

ただし、娘の進路が私立大学・自宅外通学になれば、教育費だけで
1,000万円を超える可能性があります。
一方、教育費の多くを既存の資金や毎月の生活費で賄えれば、
追加で必要な金額は小さくなります。

住宅修繕も介護費も、今の段階で正確な金額を決めることはできません。
だからこそ、平均額をそのまま信じるのではなく、自分の家計に
置き換えた複数のケースを作っておくことが大切だと感じています。

退職までの間に、娘の進路、マンションの長期修繕計画、
親の介護状況が変わるたびに、今回の870万円も更新していくつもりです。

退職できるかどうかを一度の計算で決めるのではなく、
家族の状況に合わせて数字を見直し続ける。その積み重ねが、
退職後の不安を小さくすることにつながるのではないでしょうか。


参考資料

※掲載した平均額は、各調査の対象世帯における結果です。

実際の教育費、住宅修繕費、介護費は、地域、学校、住宅の状態、
所得、介護度、利用サービス、家族構成などによって異なります。

合わせて読んでいただければうれしいです

早期退職はいつ会社に伝える?53歳退職を目指す48歳会社員が逆算した「退職前3年」のスケジュール
「退職は言い出すタイミングが全て」だと気づいた話53歳での退職を目標に、住宅ローンや教育費、老後資金、NISA・iDeCoの出口戦略といった「お金の計算」はこれ…
NISA・iDeCoはどの順番で取り崩す?53歳退職を目指す48歳会社員が考えた出口戦略
NISAとiDeCoは、これまでひたすら「埋める」ことだけを考えてきました。毎年の非課税枠を使い切り、掛金を積み立て続けることに集中していたので、正直なところ「…
【新刊出版】資産5,800万円でも会社を辞められない|48歳会社員が退職までに計算した28の図表と12の数字
本日、新しいKindle本を出版しました。タイトルは、『資産5,800万円でも会社を辞められない』です。かなり刺激的なタイトルに見えるかもしれません。「5,80…