53歳での退職を目指して資産形成を進めていますが、
最近、もうひとつ頭を離れないことがあります。
子どもの教育費です。
目標にしている金融資産9,000万円は、退職後の生活費を
まかなうために積み上げてきた数字ですが、
その途中で教育費の負担が重い時期と重なったら、
積立のペースはどうなるのか。
老後資金の計算はこれまでの記事でも何度か試算してきましたが、
教育費という「もう一つの大きな出費」を同じ土俵で考えたことは、
実はあまりありませんでした。
同じように、子どもの教育費と老後資金づくりの両方が
気になっている40〜50代の方は、少なくないと思います。
今回は、公的機関のデータを使いながら、この重なりを
どう考えればいいか、48歳の私自身の視点で整理してみます。
教育費はいくらかかるのか、まず数字で確認する
感覚だけで不安になっても仕方がないので、
まずは公表されている数字から確認します。
文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、
学校でかかる年間の学習費総額(1人あたり)は、
中学校で公立が約54万2千円、私立が約156万円、
高等学校(全日制)では公立が約59万7千円、
私立が約117万9千円となっています。
公立を選ぶか私立を選ぶかで、年間の負担は
2倍前後違ってくることが分かります。
さらに大学まで進むと、負担は一段と重くなります。
日本政策金融公庫が令和3年度に実施した
「教育費負担の実態調査結果」では、
大学の入学費用は平均81万1千円、在学費用は
1年あたり平均149万9千円とされています。
高校入学から大学卒業までの総額は、平均で942万5千円、
国公立大学に進んだ場合でも743万円という結果でした。
自宅を離れて通学する場合は、仕送り額が年間平均95万8千円と
いうデータも示されています。
この調査は2021年12月公表のもので、その後の物価上昇を
踏まえると、実際の負担は現在ではこれより増えている
可能性がある点は留意しておきたいところです。
進学ルート別に見る負担の違い
高校入学から大学卒業までにかかる総額を、進学ルート別に比べると次のようになります。
| 進学ルート | 高校入学〜大学卒業の総額(目安) |
| 国公立大学に進学 | 743.0万円 |
| 私立大学文系に進学 | 951.6万円 |
| 私立大学理系に進学 | 1,083.4万円 |

日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(令和3年度調査)より
この差は300万円以上にもなり、進学先次第で、
老後資金の積立に回せる家計の余力が大きく変わってきます。
53歳退職の資金計画に、教育費をどう組み込むか
私は53歳時点で金融資産9,000万円を目標にしていますが、
この数字は退職後の想定生活費(月35万円、年間420万円)を
まかなうための計算が中心で、教育費は本来、別枠で確保
しておくべきお金です。
たとえば、高校入学から大学卒業までの7年間で教育費の
総額が942万円かかるとすると、単純計算では月あたり
約11万2千円が必要です。
これを老後資金の積立と同時に確保しようとすると、
月々の家計にはかなりの負担がかかります。
仮に、この7年間のうち5年間が、48歳から53歳までの
退職準備期間と重なるとすると、その5年間だけで教育費と
して600万円前後を確保しながら、同時に老後資金の
積立ペースも維持しなければならない、という計算になります。
進学ルートによって、この負担にも差が出ます。
国公立大学に進むケース(総額743万円)では月あたり約8万9千円
ですが、私立大学理系のケース(総額1,083万円)では月あたり
約12万9千円と、同じ7年間でも月4万円ほどの差が生まれます。
5年間の重なり期間で見れば、200万円台の差になる計算です。
この差をどちらの前提で見込んでおくかによって、
9,000万円という目標に対する余裕度も変わってきます。
これは私自身の目標資産である9,000万円という数字が、
教育費のピーク時期と重なった場合に、想定どおりのペースで
積み上がるとは限らないということでもあります。
積立を教育費優先で一時的に緩めるのか、それとも
住宅ローン(残高約3,100万円、金利固定1.18%)の
返済ペースなど他の支出を見直して両立させるのか、
早めに選択肢を整理しておく必要があると感じています。
教育費を優先しても、老後の不足額は変わらない
仮に教育費を優先して老後資金の積立を一時的に緩めたとしても、
65歳以降に必要になる生活費(年間420万円)や、年金と配当を
合わせた収入との差である不足額は、なくなるわけではありません。

私の試算では、65歳以降の年金見込みは月約21万円(年間約252万円)、
将来の配当収入は年間約120万円で、合わせても年間372万円にとどまり、
生活費との差である年間約48万円の不足は残ります。
教育費が落ち着いたあとに、この積立の遅れを取り戻せるペースで
再開できるかどうかを、早い段階で確認しておくことが大切だと
感じています。
負担を抑える、時期をずらすという工夫も選択肢
教育費と老後資金の両方をフルペースで積み立てるのが難しい場合、
金額そのものを増やす以外にも検討できることがあります。
たとえば自宅から通学できる大学を選べれば、日本政策金融公庫の
調査で示された仕送り額(自宅外通学の場合、年間平均95万8千円)が
まるごと不要になります。
国公立大学と私立大学理系では、高校入学から大学卒業までの
総額に340万円以上の差がありましたが、通学方法の違いだけでも、
これに近い金額を左右する可能性があります。
また、教育費のピークと退職時期を無理に一致させず、たとえば
大学の学費が一段落してから正式に退職するなど、数年単位で
タイミングをずらすことも一つの考え方です。
53歳という目標時期は固定して考えるのではなく、教育費の
重なり具合によっては、退職時期そのものを柔軟に見直す余地を
残しておく、という視点も必要だと感じています。
住宅ローン(残高約3,100万円、金利固定1.18%)についても、
繰上げ返済を急ぐより、まずは教育費と老後資金の確保を優先し、
低金利のローンはそのまま維持するという判断もあり得ます。
何を優先し、何を後回しにするかは家計の状況によって正解が
変わるため、いくつかの組み合わせを試算したうえで決めたい
ところです。
まとめ:自分の家計で確認したい項目
教育費と老後資金は、どちらも「先延ばしにできない期限付きの出費」
という点が似ています。
だからこそ、どちらかを我慢して乗り切るのではなく、
金額と時期を数字で見える化したうえで、優先順位を
決めていくことが大切だと感じています。
今回整理した内容をもとに、自分の家計で確認
しておきたい項目を挙げておきます。
- 子どもの進学ルート(公立・私立、国公立大学・私立大学)ごとに、
必要な教育費の総額はどのくらいか - 教育費の負担が重くなる時期が、自分の退職準備期間とどれだけ重なるか
- 教育費を優先した場合、老後資金の目標額(9,000万円など)にどの程度の遅れが生じそうか
- 教育費が一段落したあとに、積立ペースを取り戻せる期間がどれだけ残っているか
- 住宅ローンの返済ペースや退職時期そのものを調整する余地があるか
ここで挙げた数字は、あくまで公表データをもとにした試算であり、
実際にかかる教育費は進学先や地域、時期によって変わります。
また、税金や社会保険料と同様に、教育費の負担も世帯ごとに
事情が異なるため、単純計算であることをご了承ください。
教育費と老後資金は「どちらかを選ぶ」ものではなく、
時期をずらしながら両方を確保していく視点で、
一度ご自身の家計に当てはめて確認してみていただければと
思います。
参考資料
- 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(2026年1月16日公表)https://www.mext.go.jp/content/20260116-mxt_chousa01-000039333_3.pdf
日本政策金融公庫「教育費負担の実態調査結果」(令和3年度調査、2021年12月20日公表)https://www.jfc.go.jp/n/finding
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