「退職は言い出すタイミングが全て」だと気づいた話
53歳での退職を目標に、住宅ローンや教育費、老後資金、
NISA・iDeCoの出口戦略といった「お金の計算」は
これまで何度も見直してきました。
しかし恥ずかしながら、「いつ会社に退職の意思を伝えるか」に
ついては、具体的に考えたことがありませんでした。
「その時になれば考えればいい」と、後回しにしていたのです。
ところが調べてみると、退職前後には健康保険の切り替えや
年金の手続き、iDeCoの資産の移換など、期限が決まっている
手続きがいくつも控えています。
53歳での退職を本気で考えるなら、退職を伝える日から逆算して、
今の48歳のうちから準備しておくべきことがあると気づきました。
今回は、53歳退職を目指す48歳会社員として、退職前3年からの
スケジュールを整理してみます。
退職は「2週間前」の申し出で法律上は可能
まず整理しておきたいのが、退職の申し出に関する法律上のルールです。
民法627条1項では、雇用期間を定めていない労働者は、
退職の申し出から2週間が経過すれば退職できると
定められています。
この規定は労働者の退職の自由を保障するものとされており、
就業規則で「1ヶ月前までに申告すること」などと定めていても、
民法の2週間ルールが優先するとされています。
とはいえ、法律上可能だからといって、実際に2週間前に伝える
のが現実的とは限りません。
多くの企業の就業規則では、引き継ぎや後任の調整を考暅して
「退職を希望する日の1ヶ月前まで」に申し出るよう定められており、
厚生労働省のモデル就業規則でも同様の期間が示されています。
円満に退職するためには、法律上の最短期間ではなく、実務上
必要な引き継ぎ期間を踏まえて逆算することが大切だと感じています。
退職前3年〜1年:お金と選択肢を整理する時期
3年前(50歳) まずは退職金の想定額を、会社の退職金規定と、
以前試算した退職所得控除額と合わせて確認します。
私の場合、iDeCoの加入期間から算出した退職所得控除額は
800万円〜1,500万円(加入20〜30年)で、NISA・iDeCoを
どの順番で取り崩すかという出口戦略も、この時期から
具体的に考え始めました。
2年前(51歳) 退職後の健康保険をどうするかを比較検討します。
選択肢は大きく3つで、
①協会けんぽの任意継続(退職前に継続して2ヶ月以上加入していることが条件)、
②お住まいの市区町村の国民健康保険、
③家族の抜養に入る、のいずれかです。
任意継続は退職日の翻日から20日以内に申請しないと
選べなくなるため、どちらを選ぶかは退職前にある程度
決めておく必要があります。
1年前(52歳) 残っている有給休暇の日数を確認し、
退職までにどう消化するかを計画します。
また、上司にいつ、どのタイミングで退職の意向を
伝えるかも、この頃から具体的に考え始めるタイミングです。
退職前6ヶ月〜退職当日:手続きを本格的に進める時期
6ヶ月前 このタイミングで、家族への説明を本格的に進めます。
同時に、有給休暇の消化スケジュールを具体的な日付に落とし込みます。
3ヶ月前 引き継ぎに必要な期間を逆算し、上司に正式に
退職の意向を伝えます。
法律上は2週間前の申し出で退職できますが、後任の調整や
引き継ぎ資料の作成には相应の時間がかかるため、実務上は
3ヶ月前後に伝えるのが現実的だと考えています。
1ヶ月前 退職願を提出します。あわせて、退職金を受け取る際に
必要な「退職所得の受給に関する申告書」を準備します。
国税庁によると、この申告書を提出しないと、退職金全額に
20.42%の税率で源泉征収されてしまいます。
提出すれば退職所得控除が適用され、税負担が大きく軽減
されるため、忘れずに会社へ提出したいポイントです。
退職当日 有給休暇をすべて消化し終え、社員証やパソコンなど
の備品を返却して退職を迎えます。
退職後に待っている「期限付き」の手続き
退職すればひと安心、というわけではなく、退職後にも
期限が決まった手続きがいくつも続きます。
あらかじめ把握しておくべき主なものを整理します。

健康保険(14日〜20日以内) 国民健康保険に加入する場合は、
退職日の翻日から14日以内にお住まいの市区町村役場で手続きが
必要です。
協会けんぽの任意継続を選ぶ場合は、退職日から
20日以内という、より短い期限が設定されています。
年金の切替(14日以内) 厚生年金から国民年金第1号被保険者
への切替も、日本年金機構の窓口(市区町村の年金担当)で
14日以内に行う必要があります。
企業型DCのiDeCoへの移換(6ヶ月以内) 企業型DCに加入していた場合、
退職後6ヶ月以内にiDeCoなどへ資産を移換しないと、国民年金基金連合会に
自動移換されてしまいます。
自動移換された資産は運用ができないうえ、月52円の管理費用が
発生しつづけるところ、老例給付金を受け取れる年齢の算定に
使われる期間にもカウントされなくなるという、見落としがちな落とし穴です。
雇用保険の基本手当 自己都合退職の場合、ハローワークでの手続き後、
7日間の待期期間に続いて給付制限があります。
2020年10月の制度改正により、5年間のうち2回までは
この給付制限が3ヶ月から2ヶ月に短縮されています。
まとめ:逆算スケジュールと参考資料
今回、退職を伝えるタイミングを起点に手続きを逆算してみて、
53歳退職は「お金の計算」だけではなく、「手続きのスケジュール管理」
でもあるのだと実感しました。
3年前から少しずつ選択肢を整理し、退職前後の期限付きの手続きを
漏らさず進めることが、落ちていて次のステージに進むための土台に
なると感じています。
下の表に、今回整理した逆算スケジュールをまとめました。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 3年前(50歳) | 退職金の想定額とNISA・iDeCoの出口戦略を確認 |
| 2年前(51歳) | 健康保険の選択肢(任意継続・国保・抜養)を比較 |
| 1年前(52歳) | 有給休暇の残日数を確認し、内示のタイミングを検討 |
| 6ヶ月前 | 家族への説明と有給消化スケジュールの確定 |
| 3ヶ月前 | 引き継ぎを考暅し上司に正式に退職を伝える |
| 1ヶ月前 | 退職願と退職所得の受給に関する申告書を提出 |
| 退職後14日以内 | 国民健康保険・年金の切替手続き |
| 退職後20日以内 | (任意継続を選ぶ場合)協会けんぽへの申請 |
| 退職後6ヶ月以内 | 企業型DCをiDeCoへ移換(自動移換の回避) |

次回は、退職後の健康保険の具体的な費用比較について、
もう少し詳しく整理してみたいと思います。
参考資料
- 民法第627条(e-Gov法令検索)
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」
- iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)「iDeCo加入者で転職・退職された方へ」
- 国税庁「A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)」
- 厚生労働省・遷王県労働局「「給付制限期間」が2か月に短縮されます」
※本記事の内容は一般的な制度の概要であり、
実際の手続きや受給額については、勤務先の就業規則や
各机関の最新情報をご確認ください。
合わせて読んでいただければうれしいです




